2001/4/29〜5/6 GW長期温泉ツーリング
九州編 5月1〜2日

 俵山温泉近くの公園 の、あずまやの下のキャンプは、思いのほか快適だった。テント、衣類も完全に乾き、雨もあがっていた。これなら九州へいけるなと、上機嫌で片づけを始めた。
 ところが、いざ出発するという段になって、また雨が降り出してきてしまった。もうこの頃には完全に開き直ってしまい、どうにでもなれ、という感じで走り出してしまった。

 とりあえず、中国道に入り、関門海峡を渡る。幸い風は無かったので、さほど恐怖感はなかったが、やはり橋のジョイント部分ではかなり気を使う。もっとも、後で聞いた話では、関門トンネルの方はよく中で渋滞するし、排気ガスが相当ひどいとの事で、 どちらを選んでもそれなりにメリットデメリットがあるようだ。

  小倉東インターで下道におり、一路別府に向かう。この頃には、雲は相変わらず暗く立ちこめていたが、雨はとりあえず上がっていたので、高速道路を使用したこともあり、結構良いペースで走ることが出来た。そこで、今回のツーリング一回目の、ランドリータイムとした。
 普段はあまり利用することが無いので、気にもとめないが、意外とコインランドリーというのはすぐに見つかるものだ。入って行くと、ここしばらくの長雨のせいか、近所の奥さん方がたくさんきていた。洗濯はともかく、乾燥器を利用するためのようだ。その中にわたしも混じり、洗濯をさせてもらう。

 洗濯も終わり、国道から離れて別府へショートカットする県道へ入る。この道を使うと、いきなり明礬温泉にでることができ、九州でも有名な鍋山、ヘビん湯にいきなりアクセスできる。道自体は大変きれいで、ピーク部分はいかにも九州らしいなだらかな高原状で、サファリパークもあったりする。
 しかし、そのいよいよ九州らしい風景が始まったころから、いきなり濃霧に突入した。一番ひどい時には、20m前の車のテールも定かでは無いような状態だ。途中で乗用車の事故もあったし、ハンパでは無い濃霧だ。まあ、高度を下げればなんとかなるだろうと、安全運転で先に進んだ。

 が、結局明礬温泉あたりまで降りてきても、いっこうに霧が晴れなかった。建物か何かがあるのは分かるのだが、肝心の鍋山の湯へ至る道の入り口がさっぱり分からない。何度かその辺りをうろうろした後、どうやらこの道臭い(というか濃霧のため、それが道かどうかも入ってみないと分からない)というところに突入することにした。
 結果、それが正解で、林道っぽい道のどんつきの広場に辿り着いた。どうやら先客もいるようだ。ちょっと小雨も降っていたので、カッパを脱いでポンチョを羽織り、枯れ沢のような道を辿って行った。

 しばらく行くと、急に視界が広がり、その先にはもうもうと湯気が立ち上る一帯がある。この種の温泉は今まで何度か入ったことがあるが、いずれも温泉のある一帯は、こうやって広場になっている。たぶん硫黄分などの温泉成分が、樹木に影響して成長を妨げるのだろう。
 と、どうやら先客らしい男性の二人組にであった。この先に透明の湯舟と、白濁の湯舟があるという。がぜん元気が出てきた。
 まず、透明の湯舟に入る。非常によい湯加減。続いて白濁の湯へ。ここも良い湯加減なのだが、底には肌理の細かい土が堆積しており、非常に心地よい。おそらく美肌効果 もあるだろう。私はこちらの方をお勧めする。
 ここの温泉、噂には聞いていたが、大変きれいに整備されている。野風呂なのに整備というのもおかしな話だが、地元の有志の方が湯舟の造作や、案内看板を作っているそうで、小さな源泉なんかには、温泉卵なんかの完成時間などが記されている。しかし、さすがに車の入って来れる最終の広場には、大量 のゴミがあった。…ここで説教めいた事を書いても仕方ないが、自分だけは気をつけようと思う。

 再び明礬温泉街まで降りてきて、別府温泉の入り口にくる。しかし、相変わらず霧は晴れない。別 府温泉街に入ることなく、そのままやまなみハイウエイに向かう。
 やまなみハイウエイは、これで4回めだ。今さらいうまでも無く、大変楽しい道で、バイクに乗っていて良かったと思える道の一つだ。しかし、湯布院を経て、水分峠まで相変わらずの濃霧。これでは地元の道と変わりゃし無い。

 水分峠から久住高原へ入って行く。この辺りから、いよいよ九州の自然の真骨頂ともいえる光景が広がる。さいわい、水分峠からは霧が晴れ、雨も上がり路面 も乾きだしていた。この時点で、まだ1時過ぎだったし、この状態だったらかなり距離が稼げる。が、今日はもうお開きにしようと、近場のキャンプ場へと向かった。
 そのキャンプ場は、以前にも一度利用しているのだが、過度な施設や、目が痛くなるような鮮やかな緑の芝生なんかは無い。しかし、いかにも火山性の真っ黒な土壌の自然の地形を生かしつつ、久住の山並を眺めることのできるロケーションは、結構私のお気に入りのキャンプ場だ。
 そしてなによりも、このキャンプ場からほどない距離に、たくさんの温泉があるのだ。そう、今日はこれから温泉三昧だ。いそいそとテントを設営し、さっそく温泉探訪だ。

 まず壷湯。ここもいくつか外湯があるのだが、一番目についたのが水車小屋風のもの。早速入る。
 近所の建築屋さんが作ったようで、なんともいえない風情。あえていえば「わびさび」の世界か。で、カメラをセットして湯舟に入ると…、あっつい!!これは入れん。水で薄めようとも思ったがとてもおっつかない。しかしせっかくはいったのだからと、 もう1回カメラをセットして、タイミングを見計らって身を沈める。が、やはり我慢できず、立ち上がってしまった。

 河原湯温泉。ここも外湯がある、というか外湯だらけ。なにせ民家の軒先きにまで温泉があり、一般 の人を入れているのだ(有料)。最初は外湯はなるべく全部入ろうと思っていたのだが、もうこの時点で挫折。やはり九州、あなどれない。

筋湯温泉。ここはこの界隈では一番おおきな温泉街で、宿も多い。外湯も4つあるが、そのうち一つはちょっと離れているのであまり使われていないようだ。
 このなかの打たせ湯だけは、男女別なのだが、後は基本的に混浴だ。「薬師の湯 」を覗くと、おば(あ)さんに「きゃあ」といわれてしまい、思わず「すみません」といって出てきてしまった。
 ここの打たせ湯、湯量が豊富で、なかなか気持ちが良い。さいわい今日は一応平日なので客がおらず、ゆっくりと腰や肩を打たせ湯でほぐすことが出来た。

 法泉寺温泉。実はちょっとここは先ほどまでの温泉場からは、山ひとつ超えなくてはならないのだが、なかなか良い雰囲気。よくある弘法伝説の一つなのだが、明るい、というかすがすがしい清らかさがある良い温泉だ。露天の中には確かに露天なのに、なぜか暗い雰囲気のものがある。あれは結局、露天であることと、他者からの目隠しという二律背反する条件にこだわり過ぎた結果 なのだろう。いいじゃん、見えたって。

 壁湯。ここはなにやら混浴の確率が高いとかで有名らしい。たしかにわりと若いおばさんが「ゆかた」を着てはいっていた。しかし、ここの温泉、なにか息がつまる。いわゆる洞くつを利用した半露天なのだが、まわりの岸壁が覆い被さってくるようで、早々に後にした。

 壁湯を出た頃には、もう4時をまわっていたので、キャンプサイトに戻ることに。このころには路面 も完全に乾いており、荷物も全ておろしてきているので、久しぶりに(私なりに)軽快に走ることが出来た。よくやまなみハイウエイばかりが話題に上がるし、確かにはずれは無いのだが、その周囲の県道にも、大変気持ちの良い道がたくさんある。むしろやまなみハイウエイにくらべると、変にツーリングライダーや車がいない分、ゆったりとした気分になる。

 晩飯がおわり、ラジオの天気予報を聞く。するとなんと、昨日と同じく、明日2日も午前中は雨だという。今上がっているのに?あ〜、やっと天気予報がこちらの都合の良い方にはずれだしたな、とほくそ笑みながら、眠りについた。



 おそらく深夜12時頃、再び雨が降り出してきた。 もういいや、明日昼迄らしいし、明日私が向かう霧島方面 の方が、早く回復するらしい。開き直ってまた眠った。
 
 翌朝、やっぱり雨だった。そそくさと濡れたテントをたたみ、 一路霧島へと向かう。もっとも海岸線沿いの幹線道路にでるのもつまらないので、延岡までは内陸からいくことにした。
  延岡までの道は、雨の中にも関わらず、大変気持ちの良い道だった。信号もほとんどなく、路面 もきれいだ。これでせめて雨が降って無ければと思うのは、この旅で何回目だろう。
 延岡についた頃、この天気は一気に回復した。数日振りに見る晴天だ。そうなると現金なもので、ペースが(若干だが)あがってくる。霧島連山にほどなく辿り着くことが出来た。

 霧島温泉街の近くのキャンプサイトに入り、さっそくテントを張る場所を物色する。すると若い女性のライダーが「ひとり」でテントを張ろうとしている。ふと気付くと、怪しまれない程度の絶妙の位 置にテントを張る私がいた。
 で、タイミングを見計らって話し掛けてみると、大変気さくな女性だった。こりゃ(変な意味で無く)今夜の食事は楽しいぞ、と思ったら、やはり連れがいるそうな。ちょっとがっかりしたが、気を取り直して温泉探索に行く。この時点でまだ三時前だった。

 今回のツーリングの一つの目標だった、「山ん城」温泉にいく。林道の先にある河原の湯なのだが、林道自体は非常に走りやすい。ロードバイクでも問題ないだろう。しかし、途中林道の交差点があり、そこで右折するのだが、ここにチェーンのゲートがある。さあどうしようか、と思案していると、タイミング良く営林所の車があらわれた。その方にバイクぐらいなら良かろうとの許可をうけ、正々堂々とゲートをはずした。と、その時オフ車4人組が登場、ゲートの復元をお願いして先に進む。

 しばらくいくと、硫黄のにおいの立ちこめる川を横切り、河原へ降りる獣道がある場所に至る。そのころ先ほどの4人組が追い付き、一緒に河原へ歩いて行った。
 その川の様子は、凄まじいものだった。川全体から湯気があり、源泉近くからは猛烈な湯気が「噴出」している。風向きによっては、視界が全く奪われる程で、気管支が弱い方は要注意だ。
 湯加減に関しては、その川一帯で全然違うので、自分の好みの場所を探すしか無い。しかし、大概良い感じで、底にはシルト質の粘土が堆積しており、尻の座りは抜群だ。とにかく気分爽快で、私にしてはめずらしく腰を落ち着けて入ってしまった。

 後ろ髪を引かれつつ、その温泉を後にして、えびの高原の市営露天風呂に向かう。ここは宿泊もできるようで、格安料金だ。硫黄臭の強い温泉で、なかなか良い。…が、やはり先ほどの 山ん城温泉があまりに強烈だったので、ちょっと印象が薄くなってしまった。もし初めて行くなら、逆の順番をお勧めする。

 キャンプに戻ると、例の女の子はいなかったが、代わりに連れの男性がいた。この方も大変気さくな方で、その夜は三人で食事をした。このツーリング、私の食生活はかなり貧相なものだったが、この日は、彼等に刺身などをたんまり御馳走になってしまった。有難うございました。

 10時過ぎに、自分のテントにもぐりこむ。ちょっといままで天気は悪かったが、やっぱり九州まで来て良かったと思えた1日だった。


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